放送開始1年──『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』は2025年のアニメ史に何を刻んだか

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画像引用元:https://gundam-official.com/gquuuuuux/

2025年4月8日、深夜0時29分。テレビの前で正座した人間が、日本中に何万人いただろう。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の放送が始まった夜のことは、今でもはっきり覚えている。スタジオカラーとサンライズの共同制作、監督は鶴巻和哉、脚本に庵野秀明の名前。主題歌は米津玄師の「Plazma」。これだけの情報が出た段階でガンダムファンもエヴァファンも固唾を飲んでいた。「これはとんでもないものを見せられるかもしれない」と、期待と不安が同時に押し寄せてきた。

それから1年が経った。全12話、怒濤の放送を終えた今、改めてこの作品を振り返ってみたい。

ジークアクスは、間違いなく2025年を代表するアニメのひとつだった。Yahoo!検索大賞2025アニメ部門1位、日本SF大賞特別賞、東京アニメアワード2026 TV部門作品賞。数字が全てを語っている。

「スタジオカラー×サンライズ」という前代未聞の組み合わせ

まずこの事実から確認しておく。ジークアクスは、『機動戦士ガンダム』シリーズを長年手がけてきたサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)と、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズのスタジオカラーが初めて手を組んだ作品だ。

これが発表されたとき、界隈の反応は「え、本当に?」の一言に尽きた。ガンダムとエヴァ。日本のロボットアニメを二分する両横綱が、同じリングに立つ。しかも監督は鶴巻和哉。エヴァの絵コンテ・演出で名を馳せ、『フリクリ』を生み出した人物が、ガンダムを撮る。

脚本には庵野秀明の名前もある。この組み合わせが何を作るのか、誰も予測できなかった。だからこそ第1話の放送は、ただのアニメの初回じゃなく、ひとつの「事件」だった。

放送局もガンダムシリーズ史上初の日本テレビ系列。今まで長年フジテレビ・テレビ朝日・MBS系列で放送してきたガンダムが、日テレのプライムタイムアニメ枠に入る。これ自体がすでに前代未聞だった。

物語の核心──ガンダムシリーズ最大の「もしも」

ジークアクスの舞台は宇宙世紀0085。一年戦争終結から5年が経ったサイド6のイズマ・コロニー。女子高生のアマテ・ユズリハは、戦争難民の少女ニャアンと出会ったことで、非合法のMS決闘競技「クランバトル」に巻き込まれていく。「マチュ」というエントリーネームでジークアクスに乗り込み、苛烈なバトルの日々へ──。

第1話の印象は「正統派のガンダム少女成長物語」だった。ところが、話が進むにつれて世界の輪郭がずれていく。なぜここにシャア・アズナブルがいるのか。なぜシャリア・ブルが生きているのか。なぜ「白いガンダム」と「赤いガンダム」が同時に存在するのか。

物語の核心に「シャロンの薔薇」があった。その内部に囚われた少女の正体がわかったとき、SNSは一斉に沸騰した。ララァ・スンだ。ファーストガンダムでシャアが深く愛した女性。彼女がシャアをアムロの手から救うために、何度も世界をやり直していた。シュウジ・イトウはその「世界をリセットする役割」を担わされてきた存在だった。

「もしもシャアが死ななかったら」──その問いをガンダムシリーズが正面から、SFとして、ロボットアニメとして、真剣に描いた。これがジークアクスだ。

STORY TIMELINE

時期 できごと
2025年1月17日 劇場先行版『-Beginning-』公開(興収36.2億円)
2025年4月8日 TVシリーズ放送開始(日テレ系、全12話)
2025年6月 TVシリーズ最終回放送
2025年 Yahoo!検索大賞アニメ部門1位・日本SF大賞特別賞
2026年 東京アニメアワード TV部門作品賞受賞

キャラクターの話をしよう


画像引用元:Fhttps://gundam-official.com/gquuuuuux/

アマテ・ユズリハ(マチュ)は、黒沢ともよが演じる主人公だ。戦争を知らない世代の女子高生がパイロットになる、ガンダムシリーズの王道の入り口から始まる。だが彼女が普通のガンダム主人公と違うのは、「なぜ戦うか」ではなく「戦いの意味」を問い続けるところだ。巨大なシュウジのガンダムに立ち向かう最終回は、彼女の成長の集大成として見事に機能していた。

シュウジ・イトウ(土屋神葉)は、本作で最も複雑なキャラクターだろう。世界を壊す役割を強いられながら、それでもどこかにやさしさを持ち続けている。敵でも味方でもない、ニュータイプ的な哀愁がある。

シャリア・ブル(川田紳司)が生きているこの世界線の意味を、ガンダムファンは噛みしめながら見ていたはずだ。正史では早くに退場するキャラクターが、こんなに動いている。「正史で活躍できなかったMSやキャラクターを活躍させたい」という制作陣の意図は、ファンへのサービス以上のものを持っていた。

音楽が完璧だった──米津玄師と星街すいせい

OP「Plazma」(米津玄師)は、放送前から話題になっていた。米津玄師がガンダムの主題歌を書く。それだけで大きなニュースだ。

実際に聴いてみると、楽曲の複雑な構造が「もうひとつの軸のある物語」というジークアクスの二重性をそのまま音にしていた。米津は全話のコンテを読み込んで作詞・作曲・編曲をすべて自身で手がけたという。その本気が曲に出ている。OP映像が流れるたびに「あ、またこの曲だ」ではなく「また見よう」と思わせる力があった。

ED「もうどうなってもいいや」(星街すいせい)は、タイトルのニュアンスが絶妙だった。ヒーローの決意じゃなく、少し投げやりな感情。でもその投げやりさの中に強さがある。マチュやニャアンというキャラクターの内面と共鳴していて、12話を通して聴くたびに意味が変わって聴こえた。

賛否両論の果てに──1年後の正直な評価

正直に言えば、放送中はずっと賛否が割れていた。「話数が少なすぎる」「ファーストを知らないと置いてけぼり」「キャラクターの掘り下げが足りない」──批判的な声も多かった。それは事実だし、否定できない。

全12話という短さで宇宙世紀のパラレルワールドSFをやるのは、確かに無謀だったかもしれない。もっと話数があれば、もっとキャラクターに時間を使えたはずだ。

それでも、1年経って思う。ジークアクスが提示した問い──「ガンダムシリーズの歴史をもう一度問い直す」という姿勢──は、今後のガンダムシリーズに何かを残したはずだ。正史へのリスペクトと、それへの反逆が同居した作品は、そうそう出てこない。

賛否両論だったからこそ、1年後も語り継がれている。それはひとつの答えじゃないか。

スポットギークス的まとめ

SPOTGEEKS VERDICT

スタジオカラー×サンライズ、鶴巻和哉監督、庵野秀明脚本、米津玄師主題歌、星街すいせいED。これだけの名前が揃ったジークアクスは、2025年のアニメシーンにおいて「事件」だった。Yahoo!検索大賞1位・SF大賞・アニメアワード。数字も証明している。

12話という短さへの不満は今でもある。それでも「もしもシャアが死ななかったら」という問いをSFとして正面から描き、ガンダムの歴史に刻まれた。放送1年後、改めてジークアクスを見直すなら今が最高のタイミングだ。

2025年4月8日は、ガンダム史にとって特別な夜だった。それは1年経っても変わらない。

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WRITER
スニッカー北村

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