「Steamコントローラーは使いにくい」——2015年の発売以来、そう言われ続けてきた。アナログスティックを捨て、デュアルトラックパッドという奇抜な設計を選んだValveの純正コントローラーは、賛否両論のまま2019年に販売終了となった。
しかし2025年11月、Valveが新型「Steam Controller」を発表した。Steam Deckで培ったトラックパッド技術・ジャイロセンサー・低遅延ワイヤレスを搭載した刷新版だ。旧型の失敗を踏まえ、本当に「使えるコントローラー」へと生まれ変わったのか?
この記事では旧型の何が問題だったかを振り返りつつ、新型の進化ポイントを解説。さらにXbox純正・DualSenseとの比較も行い、「Steamに最適なコントローラー」という問いに正面から答える。
2026年のSteamコントローラー事情は、旧型の常識では測れない段階に来ている。まずは歴史から振り返ろう。
旧型Steam Controller(2015〜2019)——失敗作だったのか、それとも時代が早すぎたのか?
旧型Steam Controllerが登場したとき、ゲーマーたちの反応は「なんだこれ」だった。左右のアナログスティックの代わりにデュアルトラックパッドを配置し、中央には小さなタッチスクリーンまで搭載。「FPSをコントローラーでマウス並みに操作できる」という野心的なコンセプトは面白かったが、習得コストが高すぎた。
旧型の「欠点」として語られた点
- アナログスティックが存在しない:3Dゲームで左スティックに相当する操作をトラックパッドで行う必要があり、慣れるまでが辛い
- グリップ形状への批判:手にフィットしないという声が多く、長時間プレイで疲れる報告が続出
- ボタン類の押しにくさ:独特のレイアウトがゲームコントローラーとして直感的でなかった
- 2019年に販売終了:在庫処分の$5セールで大量に購入されたが、事実上のディスコン
しかし——「わかってた人」には神器だった
評判が悪かったのに、旧型Steam Controllerのコアファンは今でも根強く存在する。タッチパッドにハプティックフィードバック(振動による擬似クリック感)を組み合わせることで、慣れたユーザーはマウスに近い精度のエイムをソファから実現できた。Steam Inputによる柔軟なカスタマイズ性も強みで、あらゆるゲームに対応した独自設定を作り込んだプレイヤーが多数いた。
問題は「使いこなすまでの壁」が高すぎたことだ。一般ゲーマーが手に取って即快適——には程遠かった。
新型Steam Controller 2026——Steam Deckの技術で「再出発」
2025年11月13日に発表された新型Steam Controllerは、旧型の反省を踏まえた設計になっている。最大の変化は「Steam Deckのコントローラー部分を独立させた」というコンセプトだ。
| 項目 | 旧型(2015) | 新型(2026) |
|---|---|---|
| アナログスティック | なし(トラックパッドのみ) | 搭載(ドリフト対策済み) |
| トラックパッド | 2基(大型) | 2基(Steam Deck世代) |
| ジャイロセンサー | 搭載(限定的) | 搭載+グリップセンスで即ON/OFF |
| グリップボタン | 2個 | 4個(割り当て可能) |
| バッテリー | 単三電池×2 | 内蔵リチウムイオン・35時間以上 |
| 接続方式 | 専用ワイヤレス / 有線 | 専用ワイヤレス(8ms)/ Bluetooth / 有線 |
6つの進化ポイント
① アナログスティック搭載:旧型最大の不満点が解消された。3Dゲームの移動操作が直感的になる。
② ドリフト対策:スティックのドリフト現象(勝手に動く問題)を起きにくい機構で設計。長期使用への信頼感が増した。
③ グリップセンス:コントローラーを握るだけでジャイロセンサーがONになり、離すとOFF。FPS・TPS系でのエイム補助をシームレスに切り替えられる。
④ 低遅延専用ワイヤレス:付属ドングル経由で約8msの低遅延接続。1ドングルで最大4台接続可能。Bluetoothよりも安定している。
⑤ グリップボタン4個:手のひら側に4つのカスタムボタンを搭載。ボタンから手を離さずに操作できる幅が大きく広がった。
⑥ 35時間以上の連続稼働:充電式で電池交換不要。据え置き利用でも不便がない。
価格は2026年4月時点で未発表。日本ではKOMODOが販売予定だ。
Xbox・DualSense・新型Steam Controllerを比較——Steamに最適なのはどれ?
Steamユーザーの実際の使用率はXbox系59%、PlayStation系26%という統計がある。つまり純正Steamコントローラーのシェアは現状ほぼゼロに近い。なぜXboxが強いのか、そして新型Steamはどこに位置するのかを整理しよう。
| 項目 | 新型Steam Controller | Xbox ワイヤレス | DualSense(PS5) |
|---|---|---|---|
| Steam互換性 | ◎(最適化済み) | ◎(業界標準) | ○(Steam Input対応) |
| トラックパッド | ◎ 2基搭載 | なし | なし(タッチパッドのみ) |
| ジャイロセンサー | ◎ グリップセンス付き | なし | ◎ 高精度 |
| ハプティクス | ○ トラックパッド振動 | ○ 通常振動 | ◎ アダプティブトリガー |
| グリップボタン | 4個 | なし(標準)/ 2個(Elite) | なし(標準)/ 2個(Edge) |
| バッテリー | 35時間以上(内蔵) | 約40時間(単三電池) | 約12時間(内蔵) |
| 価格(目安) | 未発表 | 約6,000〜7,500円 | 約8,000円 |
| こんな人に向く | Steam Deck使いやFPS上級者 | 万人・はじめての1本 | ジャイロ+振動重視 |
Xboxコントローラーが「Steam最強」と言われる理由
WindowsとXboxはMicrosoftの製品群だ。SteamはWindows上で動くため、XInputという共通規格でXboxコントローラーが最も広く認識される。ドライバー不要・挿せば動く・ゲーム側の対応が最も手厚い——これが59%のシェアを生む理由だ。ただしトラックパッドもジャイロもない。「普通に遊ぶ」なら最強だが、PCゲームならではの操作拡張性はない。
DualSenseが選ばれる理由
PS5ユーザーがSteamも遊ぶケースでDualSenseを流用するパターンが多い。アダプティブトリガー(対応タイトルで引き金の重さが変化)とジャイロの精度はSteamでも活かせる。ただしBluetooth接続の遅延やケーブル管理の問題を許容できるかが分かれ目だ。
新型Steam Controllerが輝く場面
トラックパッド+ジャイロ+グリップボタン4個の組み合わせは、他のコントローラーにはない操作密度だ。RTSやMOBA、FPSをコントローラーで遊びたいゲーマーにとって、新型Steam Controllerは本命候補になりうる。ただし価格次第では、Xbox Elite(約15,000円)やDualSense Edge(約17,000円)との比較になる。
まとめ——純正コントローラーを選ぶべき人、選ばない人
旧型Steam Controllerは「尖ったコンセプトの失敗作」だった。しかし新型は「Steam Deckで証明されたトラックパッドとジャイロを、据え置きコントローラーに落とし込んだ完成形」として出発している。
新型Steam Controllerを選ぶべき人:
- Steam Deckのトラックパッド操作が好きで、大画面でも同じ感覚で遊びたい
- FPS・TPSをジャイロエイムで遊びたい(グリップセンスが便利)
- Steam Machine購入予定で純正エコシステムで揃えたい
XboxやDualSenseを選ぶべき人:
- とにかく挿してすぐ使いたい、設定の手間をかけたくない
- アクション・格ゲー・RPGが中心でトラックパッドの恩恵が薄い
- すでにXboxやPS5を持っており、コントローラーを流用したい
評判の悪さは旧型の話だ。新型Steam Controllerを同じ目で見るのはもう正しくない。
旧型Steam Controllerの「使いにくい」という評判は、アナログスティックなしという根本的な設計ミスから来ていた。新型はその欠点を解消しつつ、トラックパッド・ジャイロ・グリップボタン4個という独自の強みを保持している。Steam専用に最適化された操作系は、XboxやDualSenseが持っていない次元の話だ。価格が判明した段階で改めて比較する価値はあるが、「再評価する時」はすでに来ている。
純正コントローラーへの偏見を捨てて、新型を触ってから判断しろ。
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スニッカー北村








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