ハードフリップ(Hardflip)歴代の使い手たち|難しくて美しいトリックの伝説

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スケートボードのトリックには「難しいのに地味に見える」ものと、「難しい上に見た目も激しい」ものがある。ハードフリップは後者の代表格だ。

フロントサイド・ポップショービットとキックフリップを同時に行うこのトリックは、ボードが身体の前側で回転するため、スケーター自身が「邪魔をしない」ように動きを制御する必要がある。視覚的にはボードが暴れているように見えながら、実際は精密な制御の産物——だからこそ、ハードフリップをきれいに決めるスケーターへの評価は特別に高い。

デウォン・ソングがそのスタイルを確立し、シェーン・オニールが機械的な精度に昇華させた。ルアン・オリベイラのハードフリップは芸術と呼ばれ、チャニー・ジャンゲナンのそれは誰も真似できないと言われた。「難しくて美しい」——そういうトリックが好きな人は、必ずこのトリックを好きになる。

🛹 ハードフリップの起源——フロントフリップという前身

ハードフリップの正確な発明者については諸説あるが、1990年代初頭にWorld Industriesのスケーターたちの間で形作られたとされている。「フロントサイド・ポップショービット+キックフリップ」という組み合わせを体系化し、スタイルとして確立したのはデウォン・ソング(Daewon Song)だ。

ハードフリップの「難しさ」の核心は、ボードが身体の前側(フロントサイド)に回転するため、キックフリップの動作と干渉しやすいことにある。ほとんどのスケーターにとって、キックフリップよりハードフリップの方が難易度が高いと感じるのはこのためだ。それを自然にこなすスケーターのレベルは推して知るべし、だ。

📌 技術の核心
フロントサイド・ポップショービット(ボードを前向きに180度回転)とキックフリップ(縦にフリップ)を同時に行う。ボードが身体の前で宙を舞うため、タイミングのズレが即ミスにつながる。「難しいのに見た目がカッコいい」スケーターの選ぶトリックの筆頭。

⚡ 時代を作った使い手たち

Daewon Song(デウォン・ソング)|スタイルの確立者

韓国系アメリカ人のデウォン・ソングは、World Industriesの『A Visual Sound』(1995)でスケートシーンに衝撃を与えた。セクションを問わず、縁石でも手すりでも、あらゆる場所でハードフリップを組み込むスタイルは「ハードフリップをここまで使いこなせるのか」と当時のスケーターを驚かせた。現在もAboutSkatecorporationを立ち上げ現役で活動しており、そのテクニカルな滑りは何十年経っても変わらない。

YouTube で見る:Daewon Song – A Visual Sound (1995)


Chany Jeanguenin(チャニー・ジャンゲナン)|スイスの孤高

スイス出身のチャニー・ジャンゲナンは、「誰にも真似できないハードフリップ」を持つスケーターとしてシーン内で伝説的な評価を得ている。ポップの高さ、ボードの回転のクリアさ、そして着地の軽さが三拍子揃った彼のハードフリップは、スローモーションで見ても美しい。大きなスポンサーや脚光を浴びることなくキャリアを送ったが、「好きなスケーターのベスト10」に常に名前が挙がる存在だ。

YouTube で見る:Chany Jeanguenin – Hardflip


Luan Oliveira(ルアン・オリベイラ)|芸術的なハードフリップ

キックフリップの項でも登場したルアン・オリベイラだが、ハードフリップにおいても最高峰のひとりだ。2016年のThrasher SOTY映像や各種パートで見せるハードフリップは、速さの中に一切の乱れがない。ブラジルのスケート文化が育んだテクニカルかつスタイリッシュな滑りは、このトリックでも遺憾なく発揮されている。

YouTube で見る:Luan Oliveira – Hardflip Highlights


Shane O’Neill(シェーン・オニール)|機械的完璧さ

トレフリップの記事でも登場したシェーン・オニール。彼のハードフリップは「機械が計算した軌道」と形容されることがある。Nike SBの各パートでのハードフリップは、ボードが同じ角度で同じ速さで回り、同じポイントでキャッチされ、同じ着地をする——その再現性の高さが異常だ。ストリートリーグのハイスコアパートでハードフリップを組み込む場面は何度も見られる。

YouTube で見る:Shane O’Neill – Hardflip


Carlos Ribeiro(カルロス・リベイロ)|低くてノリのある現代解釈

Primitiveのカルロス・リベイロのハードフリップはキックフリップ同様、低くてスタイルがある。高さで魅せるのではなく、トリックのノリと着地の確実性で魅せるスタイルは若い世代に強く支持されている。InstagramやYouTubeのクリップで切り取られた彼のハードフリップは、「シンプルなのになぜこんなにカッコいいのか」という感想を引き出す。

YouTube で見る:Carlos Ribeiro – Hardflip (Primitive)


Felipe Ortiz(フェリペ・オルティス)|ハードフリップ専門家の異名

ブラジル出身のフェリペ・オルティスは、「ハードフリップのスペシャリスト」として一部のスケーターから特別な敬意を受けている。様々なセクションでハードフリップを中心に据えた映像が高く評価されており、このトリックへの執着とクオリティが際立つ存在だ。

YouTube で見る:Felipe Ortiz – Hardflip

📋 ハードフリップ進化の年表

出来事 スケーター
1990年代初頭 トリック形成期(World Industries周辺) 複数スケーター
1995 スタイルとして確立(A Visual Sound) Daewon Song
2000年代 「誰にも真似できない」境地へ Chany Jeanguenin
2010〜 ブラジル勢が芸術的解釈を加える Luan Oliveira
2015〜 機械的再現性の極致 Shane O’Neill
2020〜 ノリとスタイルの現代解釈 Carlos Ribeiro

✅ スポットギークス的まとめ

ハードフリップは「やる側も見る側も一目置く」トリックだ。難易度が高い割に、うまくいくと「なぜそんなに自然に見えるのか」という不思議な感覚がある。それはこのトリックをマスターしたスケーターが、難しさを隠すほどの技術を持っているからだ。

デウォン・ソングが確立したスタイルはチャニー・ジャンゲナンで孤高の高みに達し、ルアン・オリベイラとシェーン・オニールで異なる形の「完璧」を見せた。ハードフリップのいいクリップを見るたびに、スケートボードの奥深さを再確認する。

まず見るべき映像 3選

  • 🥇 Daewon Song – A Visual Sound(1995):すべての起点。今見ても色褪せない
  • 🥇 Chany Jeanguenin – Hardflip(2000年代):「真似できない」と言われた理由がわかる
  • 🥇 Shane O’Neill – Nike SB:機械的完璧さとはどういうものかの答え
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