台風が近づいてくると、SNSのタイムラインにはいつも同じ言葉が流れてくる。「台風コロッケ買ってきた」「コロッケ売り切れてた」「今年も台風コロッケシーズン到来」——。
台風予報が出た瞬間、気になるのは雨雲レーダーよりコロッケの在庫だ。正直わたしも毎年条件反射で確保しに走る側の人間である。台風接近のニュースが出た瞬間、スマホを閉じて最寄りの精肉店に向かう習性がついてしまっている。いや、これはもはや習性じゃなくて使命感かもしれない。
「なんとなく台風の日はコロッケを食べる気がする」という人は多いはずだが、そもそもなぜコロッケなのか、いつ始まった文化なのかを知っている人は意外と少ない。この記事では台風コロッケの発祥から、2026年にわたしが本気でおすすめする5選まで一気に紹介する。1位は三鷹の某精肉店のカレーコロッケだ。一度食べたら台風のたびに思い出す味になる保証つきだ。
5選の詳細と選定理由は後半で説明する。先に「台風コロッケとは何か」を押さえておきたい人は順番に読んでほしい。
台風コロッケとは?——2001年・2ちゃんねる発祥のネット文化の真相
台風コロッケとは、台風が接近・上陸する際にコロッケを買い・食べる習慣のことだ。発祥は2001年8月21日——台風11号が日本列島に接近した日、2ちゃんねるの台風情報スレッドに書き込まれたある一文が全ての始まりだった。
念のためコロッケを16個買ってきました。もう3個食べてしまいました
引用元:台風コロッケ – Wikipedia
今の感覚でいえばXで1万いいねされそうな絶妙な一文だ。台風対策という緊張感の中に漂う「もう3個食べてしまった」という脱力感——この組み合わせがスレッド住民の心をつかみ、「台風が来たらコロッケ」というジョークとして広まった。当時の2ちゃんねるらしい匿名の等身大感が、かえってリアルな共感を生んだのだろう。
当初は2ちゃんねるユーザーの間だけの内輪ネタだったが、2012年6月に台風4号が日本に接近した際、Twitterのトレンドに「台風コロッケ」がランクイン。ネットメディアが一斉に取り上げ、世代を超えたインターネット文化として定着した。発祥から25年が経つ今も毎年夏・秋になると必ずSNSを賑わせる、本物の「ネット発・食の文化」だ。
現在ではスーパーやコンビニが台風接近のたびにコロッケの特設販売を行うケースも増えており、単なるネットジョークを超えて日本の食習慣のひとつになったと言っていい。元オタクショップ店員だったわたしも、台風直前は棚の動きが明らかにコロッケだけ違っていたのを覚えている。
なぜ台風の日はコロッケなのか?——「16個」には深い理由があった
「なぜよりによってコロッケ?」という疑問は的確だ。台風対策なら保存食やカップ麺の方が現実的なはずなのに、コロッケは日持ちしない揚げ物だ。それでも「台風コロッケ」がこれだけ浸透した理由は複数ある。
肉屋のコロッケが持つ「庶民の食」としての強さ
コロッケは精肉店の惣菜として長く日本に根付いてきた食べ物だ。1個70〜100円という手頃な価格と揚げたての香りは、「非日常の気分を食で和らげる」という感覚にぴったりフィットする。台風という非常事態に、家族みんなで当日の夕飯を手っ取り早く解決できるコスパのよさも見逃せない。価格・スピード・満足感の三点において、惣菜コロッケの右に出る食べ物はそうそうない。
「買いに行ける最後のチャンス」という購買心理
台風が接近すると、人は「外に出られなくなる前に」という焦りで衝動的に動く。そのとき食べ物で真っ先に思い浮かぶのが、手軽で即食できる惣菜コロッケだ。買い物を延期できない状況と、すぐ食べられる満足感——この組み合わせが台風とコロッケの親和性をさらに高めた。
もっとシンプルに言えば、台風前のソワソワしたテンションで揚げ物を食べたくなる人間の本能がある。わたしもそれに逆らったことは一度もない。台風前の精肉店にただよう揚げ物の香りは、なぜかいつも以上に食欲をそそる。
小田のっこ的おすすめコロッケ5選——台風前に確保すべき名品
台風コロッケを語るなら「どのコロッケを食べるか」まで決めておきたい。ここでは実際に足を運んで食べたコロッケの中から、台風待機中に食べるのにふさわしい5本を選んだ。評価軸は「味」「価格」「アクセスのしやすさ」の3点だ。
| 順位 | コロッケ | 店舗 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 1位 | カレーコロッケ | 肉のアンデス 三鷹店 | 160円 |
| 2位 | コロッケ(ラード揚げ) | 大野屋牛肉店(神楽坂) | 170円 |
| 3位 | ポテコロッケ | かたばみ精肉店(戸越銀座) | 100円 |
| 4位 | 食べ歩きコロッケ各種 | 谷中銀座商店街 | 100円前後 |
| 5位 | カウンターコロッケ | 各コンビニ | 150〜200円 |
第1位 肉のアンデス三鷹店「カレーコロッケ」——160でこの完成度はどうかしてる
三鷹駅南口から徒歩10分。住宅街に溶け込むように店を構える「肉のアンデス」のカレーコロッケ160円が、わたしの台風コロッケ5選堂々の1位だ。創業から約50年、三鷹の人たちに愛され続けてきた老舗精肉店の看板商品である。
外皮はしっかりサクサクで、割ると中からカレーの香りがふわっと広がる。甘口ベースのカレー風味がじゃがいもの甘みと溶け合い、子供から大人まで食べやすい仕上がりになっている。一口食べた瞬間、「なぜ160円なんだ」という疑問と感謝が同時に押し寄せる。この値段でこの味を出せる店は、今の東京にはそうそうない。そもそもボリュームがおかしい。女性の私の拳よりコロッケが大きいのだ!
店は2023年1月に建物の耐震問題で一時休業を余儀なくされたが、2024年7月17日に三鷹市下連雀3丁目の新店舗でリニューアルオープン。初日から行列ができたと聞いている。それだけ地元に愛されているということだ。池袋から中央線一本で三鷹まで行けるし、台風前日の遠征先として十分すぎるほど価値がある。わたしは実際そうしている。
- カレーコロッケ160円という価格破壊
- 創業約50年・地元民に愛される老舗の安定感
- 池袋から中央線一本でアクセス可
- 三鷹駅南口から徒歩10分・台風当日は注意
- 揚げたて・数量限定なので早めに訪問推奨
第2位 大野屋牛肉店(神楽坂)コロッケ——1966年創業・ラード揚げの貫録
神楽坂商店街に1966年から店を構える老舗精肉店だ。ここのコロッケ(170円)は、現代のほとんどの揚げ物とは一線を画す「ラード揚げ」で提供される。
植物油が主流の現代に、あえてラードで揚げるその選択が生む風味は独特だ。外皮のサクサク感が段違いで、じゃがいもとの食感の対比がくっきりしている。1日200個売れるというのは伊達ではなく、「なぜ神楽坂まで来てコロッケを買うのか」という問いに、一口食べると自分で答えが出る。170円は肉屋コロッケとしては少し高めに感じるかもしれないが、このクオリティなら納得の価格だ。台風前に神楽坂を通るなら迷わず立ち寄るべき一品だ。
- 1966年創業・60年近い歴史が保証する味の安定感
- ラード揚げの独特な風味と外皮のサクサク感
- 1日200個売れる実績
- 170円と少し高め(品質相応ではある)
- 人気店のため売り切れ早め
第3位 かたばみ精肉店(戸越銀座)「ポテコロッケ」——下町コロッケの正解がここにある
戸越銀座商店街は「コロッケの聖地」と呼ばれるほど、複数の精肉店・惣菜店がオリジナルコロッケを販売している商店街だ。その中でも昭和32年(1957年)創業の「かたばみ精肉店」のポテコロッケ(100円)は、商店街の顔ともいえる一品だ。
「戸越銀座コロッケ」として商店街公認の認定も受けており、ホクホクのじゃがいもの甘みを最大限に活かしたシンプルにして完成された味わいだ。派手なアレンジを一切しない潔さが、なぜかクセになる。台風シーズンに戸越銀座を訪れると商店街全体が活気づいており、複数の店を食べ歩きながらお気に入りを見つけるのも楽しい。1個100円前後の店が並んでいるので財布にもやさしい。
- 1957年創業・商店街公認「戸越銀座コロッケ」認定店
- ポテコロッケ100円・じゃがいもの甘みが際立つシンプルな味
- 商店街全体で食べ歩きが楽しめる
- 台風当日ではなく前日に訪問が必須
第4位 谷中銀座商店街のコロッケ食べ歩き——下町情緒とセットで楽しむ
谷中銀座商店街は戸越銀座と並ぶ、東京の下町コロッケ食べ歩きの名所だ。1933年創業の老舗精肉店をはじめ、複数の惣菜店が揚げたてコロッケを100円前後で販売している。
一軒の店に絞らず商店街全体をひとつの「コロッケ体験」として楽しめるのが谷中の面白さだ。どの店のコロッケも個性があり、食べ比べ自体が目的になる。台風前日に谷中銀座をぶらぶら歩きながら複数のコロッケを食べてまわる——というのが、わたし的には最高の台風準備の仕方だと思っている。ただし台風当日の訪問は絶対NG。前日に行くこと、これだけは守ってほしい。
- 100円前後で複数店舗の食べ比べが楽しめる
- 1933年創業の老舗含む本格的な精肉店が揃う
- 散歩とセットで楽しめる下町の雰囲気
- 特定の「これ」という一品ではなく商店街全体が目的地
- 台風前日までに訪問すること
第5位 コンビニカウンターコロッケ——台風「当日」に頼れる最終手段
セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマート各社のレジ横コロッケは、150〜200円程度で購入できる。正直、上記の精肉店のコロッケと比べると風味や食感は落ちる。それでも台風が上陸してから「やっぱりコロッケ食べたい」となったときの最終手段として5位にランクインさせた。
大手コンビニはどこも揚げたてをキープしており、各社のカウンターフーズは揚げ油の管理が安定している。台風当日に外に出られるのがコンビニだけ、という状況は十分ありえる。そのためにここはおさえておいてほしい。Steam Deck片手に台風待機しながら食べるコンビニコロッケにも、それはそれでしみじみとした良さがある——とだけ言っておく。
- 台風当日でも購入できる唯一の選択肢
- 全国どこでも手に入る
- 揚げたてをすぐ食べられる手軽さ
- 精肉店のコロッケと比べると風味・食感は劣る
- 台風当日はコンビニも早期閉店・品薄になる場合あり
まとめ——台風コロッケは25年続く「ネット発・食の文化」だ
台風コロッケの発祥は2001年8月21日。2ちゃんねるの一投稿から始まり、2012年にTwitterで爆発的に広まり、今や25年続くインターネット発の食習慣として完全に定着している。スーパーやコンビニが台風前に特設コロッケ売り場を設けるほどになったのは、それだけこの文化が本物になった証拠だ。
今回紹介した5選をまとめる。1位は肉のアンデス三鷹店のカレーコロッケ(160円)、2位は大野屋牛肉店(神楽坂)のラード揚げコロッケ(170円)、3位はかたばみ精肉店(戸越銀座)のポテコロッケ(100円)、4位は谷中銀座商店街の食べ歩きコロッケ(100円前後)、5位は各コンビニのカウンターコロッケ(150〜200円)だ。
台風が近づいてきたとき、何はさておきまず精肉店に走ることをすすめる。行列になる前に動くのが大事だ。そして台風当日は外出を控えてコロッケを食べながら待機する——それが2026年の台風コロッケの正しい楽しみ方だ。
台風コロッケは「ネットミームが食の文化になった」稀有な事例だ。発祥から25年、今やスーパーとコンビニが公式に台風コロッケ商戦を展開するまでになった。わたし的1位・肉のアンデス三鷹店のカレーコロッケ160円は、台風という非常事態に160円でこれだけ満足できるのかという驚きを毎回与えてくれる一品だ。台風前日に遠征してでも確保する価値がある。
台風前日に精肉店へ走る人間でいることを、わたしはやめるつもりがない。
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小田のっこ










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