正直に言う。このキットを箱から出した瞬間、声が出た。
「HG 1/144 シャリア専用リック・ドム(GQ)」。ジークアクスに登場するシャリア・ブル専用機のガンプラだ。ドムという機体はもともとガイア・オルテガ・マッシュの黒い三連星が乗るイメージが強い。パープルがかったダークカラーの重量感が、ドムらしさのひとつだと思っていた。だからこのキットのランナーを見たとき、なんとも言えない違和感と興奮が同時に来た。青い。こんなに青いドムを、俺は見たことがなかった。
ジークアクスというアニメは、ガンダムの歴史を別軸で再解釈する作品だ。知ってるMSが知らない顔をして出てくる。その代表格がこのシャリア・ブル専用ドムだと思う。「ドムってこんなかっこよかったっけ」と思わせてくれる一品だ。
今回はこのキットを実際に組んでレビューする。先に結論を言っておくと、3,630円という定価は全然高くない。むしろ安すぎるかもしれない、というのが正直な感想だ。
このブルーは反則だ──外観レビュー
まず成形色の話をしたい。ブルーとブラックがメイン。肩・前腕・膝にかけて濃いめのブルーが重なる構成で、単色のブルーではなく濃淡の差が立体感を生んでいる。ガイア/オルテガ機のパープル基調と比べると、同じドムなのに受ける印象がまるで違う。ガイア機が「重厚」ならシャリア機は「鋭い」。それが最初の感覚だった。
胸部のドーム状装甲は斜線モールドが入っていて、拡散ビーム砲はメタリックグリーンで色分け済み。ここ、塗らなくていいのか、と二度見してしまった。ちゃんと色が分かれている。成形色の密度が高い。
頭部モノアイはクリアピンクのパーツで再現されており、ボールジョイント接続なので左右上下に動く。表情が変えられるモノアイというのは、ジオン系MSの大きな武器で、これがあるだけでポージングの幅が変わる。シャリア機はそれを当然のように持っている。
脚部の造形が個人的なツボだった。大腿部がかなり細身に仕上がっていて、全体のシルエットがスタイリッシュに見える。旧来のドムはどっしりとした重量感が売りだったが、このキットは同じどっしり感を持ちながらスラっとして見える。不思議なバランスで、どの角度から見ても絵になる。
動かして初めてわかる完成度──可動域レビュー
組み終わって最初にやったこと──全関節を動かしてみた。これが驚いた。HGUCと比べて可動箇所が明らかに多い。
頭部は前後左右に広く動く。腹部も反らせられる可動域があって、上体を反った姿勢が作れる。腕は水平以上に上げられるので、ジャイアント・バズを両手で構えるポーズが無理なく決まる。膝は深く曲がり、立膝のポーズも問題なし。左右への開脚は水平まで行ける。
HGのドムでここまで動くか、というのが率直な驚きだ。可動の制約でポーズに妥協する、という場面がほとんどなかった。「こういうポーズを決めたい」と思ったら、たいていの場合それができた。それは地味に、ものすごく重要なことだと思う。
肩の楕円装甲も、複数ジョイントで幅広く展開できる。腕を上げたときに装甲が干渉して動きが止まる、という現象が起きにくい設計になっていて、細かい配慮を感じた。
ギミックが多すぎる(最高の意味で)
このキットの一番の話題がこれだ。差し替えなしで高機動形態に変形できる。
背部に脚部と同型のスラスターユニットを装備し、3本のアームを展開することで高機動形態を再現する。パーツを外して付け替えて、という手間がゼロ。展開するだけでモードが変わる。これを最初に実演したとき、一人で「おお」と言った。
高機動形態の3本脚状態はシルエットが完全に別物で、一つのキットで二つの表情が楽しめる感覚だ。飾る角度によって印象が全く変わるので、ディスプレイの選択肢が倍になる。
電磁ハーケンはリード線を使って射出状態を演出できる。手甲からワイヤーが伸びる瞬間を静止させたような表現ができて、アクションシーンの一コマとして完成度が高い。こういうギミックは「あるだけで嬉しい」のだが、ちゃんと見栄えするのがいい。
武装を全部試した
ジャイアント・バズは砲身が左右貼り合わせの構成で、合わせ目が上下に入る。塗装派にはひと手間かかるポイントだが、フォアグリップが可動するので両手持ちのポーズはバッチリ決まる。砲口を向ける角度でガラッと雰囲気が変わるので、写真映えする武装だ。
ヒート・サーベルは2本付属する。これが地味に嬉しい。1本だとポーズが限られるが、2本あると二刀流が作れる。ドムが二刀流でサーベルを持っているポーズは絵になる。余った1本を腰にマウントするといった遊びもできる。
平手パーツも付属していて、武器を持たせた開き手が使える。指のモールドがきめ細かく、造形のクオリティが手先まで維持されているのは好印象だ。
- ジャイアント・バズ(フォアグリップ可動)
- ヒート・サーベル ×2(柄+刃)
- 電磁ハーケンパーツ+リード線
- 平手パーツ
- マーキングシール
正直に言う──気になった点
良いことばかり書くのは性に合わないので、気になった点も書く。
関節強度が全体的に高く設計されているのはいいことなのだが、その分、外装パーツの接合部に負荷がかかりやすい。股間部と大腿部のジョイントが、激しくポージングしていると外れてくることがある。バラけるというほどではないが、一瞬「あ」となるポイントだ。
足首は関節強度が高めで動かしにくく、脚底の外側が若干浮きやすい傾向がある。接地面でこだわりたい場合は、少し調整が必要かもしれない。
ジャイアント・バズの砲身合わせ目は、素組み派には気にならないが塗装派は合わせ目消しが一手間。とはいえHGとしては普通の範囲で、大きなデメリットとは言えない。
それだけだ。これだけ挙げて「気になった点」の量がこれしかないというのが、このキットの完成度を物語っていると思う。
スポットギークス的まとめ
「HG シャリア専用リック・ドム(GQ)」は、HGという括りに収まらない完成度のキットだ。可動域・ギミック・成形色の再現度・付属武装の充実、どこを切り取っても文句のつけどころがない。
差し替えなしの高機動形態変形、電磁ハーケンのリード線ギミック、モノアイの可動……遊びどころが多くて困るほどだ。ドムのシルエットが好きな人は問答無用で手に取っていい。
ジークアクスを知らなくてもいい。このキットは、ドムというMSへの愛が詰まっている。それだけで、買う理由として十分じゃないか。
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スニッカー北村









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