欧州のレーティング機関PEGIが、すでに販売されているゲームのレーティングを引き上げる。対象は現在PEGI 3、7、12に分類されているデジタル専用ゲームのうち、ルートボックスなどの有料ランダムアイテムを含むタイトルだ。これらは「Paid random items」のディスクリプターが付いたPEGI 16へ更新される。
更新は2026年10月から始まり、PEGIレーティングを使用する全ストアフロントで実施される。完了までには時間がかかるとされ、パブリッシャー側は商品ページの表示を直し、今後のマーケティング素材も最新のレーティングに合わせる必要がある。
つまり、何年も前に「全年齢向け」として並んでいた基本無料タイトルが、ある日突然16歳以上の棚に移る。ゲーム内容は1行も変わっていないのに、だ。この一見乱暴な措置に、PEGIはどんな理屈を用意しているのか。
結論から言えば、これは2026年6月に導入された新基準を過去に遡って適用する作業だ。基準が変わったのに古い札だけ残っていると、同じ中身のゲームが並び方次第で違う年齢表示になってしまう。その歪みを潰すのが今回の更新の目的になっている。
PEGIのレーティング更新で何が変わるのか?
有料ランダムアイテムを含むデジタル専用ゲームが、PEGI 3、7、12からPEGI 16へ引き上げられる。ディスクリプターには「Paid random items」が付く。
ここで重要なのは、引き上げの理由がゲームの暴力表現や性的表現ではないという点だ。評価されているのは課金の仕組みそのもの。2026年6月にPEGIは「インタラクティブなリスク」に着目した新分類カテゴリを複数導入しており、以降の新規申請作品は、ゲーム内コンテンツの購入、有料ランダムアイテム、コミュニケーション機能、プレイ継続を促す要素といった内容と機能の両面を評価する広い基準で分類されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | PEGI 3/7/12のデジタル専用ゲームで有料ランダムアイテムを含むもの |
| 更新後 | PEGI 16+ディスクリプター「Paid random items」 |
| 開始時期 | 2026年10月から順次(完了には時間を要する) |
| 適用範囲 | PEGIレーティングを使用する全ストアフロント |
| 新基準の導入 | 2026年6月。内容と機能の両面を評価する分類に刷新 |
| パブリッシャーの対応 | 商品ページの更新と今後のマーケティング素材の最新化 |
表にして並べると、やっていることは単純だ。新しい定規を作ったから、古い計測結果も測り直す。それだけの話になっている。
PEGIはなぜ既存ゲームまで測り直すのか?
オンラインゲームが長期間にわたって販売・運営され続けるため、時間が経つとレーティングの一貫性が崩れるからだ。PEGIのディレクターであるDirk Bosmans氏が、その理由をはっきり説明している。
Online games can remain available and updated for a very long period of time. To avoid that our age ratings over time become inconsistent, we decided to perform this update
引用元:PEGI
続けて同氏は、この更新によって古いゲームが将来も人気を保ち続けた場合に、PEGIの現行基準を反映した状態になると述べている。長寿タイトルほど昔の札をぶら下げたままになる、という構造的な問題への回答だ。
個人的には、この判断はかなり誠実だと思う。新基準を作った時点で「これから申請される作品だけ」に適用するなら、機関側の作業は軽い。でもそれをやると、10年前から走っている基本無料タイトルが永久にPEGI 3のまま残る。棚の年齢表示を信じて子どもに渡す保護者からすれば、たまったものじゃないはずだ。…まあ、古いソシャゲに課金していた側としては、急に16歳以上の棚に移されるとちょっと気まずいけど。
日本のプレイヤーへの影響は?
PEGIは欧州のレーティング機関であり、国内のレーティングを担うCEROとは別の制度だ。今回の更新はPEGIレーティングを使用するストアフロントで実施されるものなので、国内向けの年齢区分表示がこれに連動して変わるわけではない。
ただし、影響がゼロで済むとは見ていない。欧州でPEGI 16になったタイトルは、ストアの検索フィルタや年齢ゲートの挙動が変わる。運営側がグローバルで同じ素材を使っている場合、トレーラーやバナーの表示レーティングが差し替わるのを国内のプレイヤーも目にすることになるだろう。
もうひとつ押さえておきたいのが、ディスクリプターの文言だ。「Paid random items」は暴力や恐怖と同じ列に並ぶ注意表示として機能する。ガチャが表現上のリスクと同じ扱いで表示される時代に入ったという事実は、レーティングの歴史として記録しておく価値がある。
今回の更新をどう受け止めるか
改めて整理すると、PEGI 3、7、12のデジタル専用ゲームのうち有料ランダムアイテムを含むものが、ディスクリプター付きのPEGI 16へ更新される。開始は2026年10月から、適用はPEGIレーティングを使用する全ストアフロント、完了までは時間がかかる。パブリッシャーは商品ページと今後のマーケティング素材を最新のレーティングに合わせる必要がある。
良い点は、基準と表示のズレが解消されることだ。気になる点は、更新が順次であるために、しばらくは同種のタイトルでPEGI 12とPEGI 16が混在する期間が生まれること。移行期間中はストアの表示を鵜呑みにしづらくなる。
ゲームの中身を変えずにレーティングだけ上げる措置は、一見すると後出しジャンケンに見える。だがPEGIが測り直しているのは表現ではなく課金の仕組みであり、2026年6月の新基準をそのまま過去に適用しただけだ。「長く売られ続けるゲームほど古い札が残る」という構造を放置しなかった点を評価したい。
ガチャが暴力表現と同じ列の注意表示になった。これは小さなニュースじゃない。
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小田のっこ












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