『黒神話:鍾馗』の発売日は、2026年8月時点でまだ発表されていない。対応機種も「コンソールとPC」とだけ告知され、具体的なハード名は伏せられたままだ。ただし2026年8月に公開された約15分のゲームプレイ映像によって、このゲームがどんな手触りになるのかは、かなり具体的に見えてきた。
開発は『黒神話:悟空』で世界販売1000万本超のメガヒットを叩き出した中国のGame Science。今作はシリーズ第2作にあたり、題材は西遊記から一転して、中国の民間伝承「鍾馗(しょうき)の鬼退治」へと切り替わる。前作が『西遊記』なら、今作は『鬼を喰らう者の物語』というわけだ。
で、実際に映像を見た正直な感想を言う。これは前作の焼き直しじゃない。剣を主武器にしたパリィ主体の戦闘に組み替えられ、さらに「味方を呼び出して共闘する」「呼び出した味方に憑依して操作する」という、前作にはなかった中核システムが乗っている。棍棒でぶん殴っていたあの感触とは、明確に別物だ。
ここでは公開済みの一次情報だけを使って、『黒神話:鍾馗』の現時点でわかっていることを整理する。発売日・対応機種・戦闘システム・そして題材である鍾馗という存在まで、まとめて押さえておこう。
ちなみにオレは前作を発売日に買って、ラスボスまで走り抜けた口だ。だからこそ今回の方向転換には正直かなり驚いている。
『黒神話:鍾馗』とは?『黒神話:悟空』開発元が贈るシリーズ第2作
『黒神話:鍾馗(BLACK MYTH: ZHONG KUI)』は、中国のGame Scienceが開発するシングルプレイ用アクションRPGだ。2025年8月のgamescom 2025で正式発表され、『黒神話:悟空』に続くシリーズ第2作として位置づけられている。
前作『黒神話:悟空』は2024年に発売され、全世界で1000万本を超えるセールスを記録した。中国発の家庭用ゲームがここまでの規模で成功した例はほぼ前例がなく、業界の勢力図を書き換えた一本と言っていい。その続編にあたるのだから、注目度が高いのは当然だ。
ただし「続編」といっても、悟空の物語の続きではない。『黒神話』シリーズは中国の古代神話・民間伝承を題材にしたアンソロジー的な構造を取っており、今作は西遊記から完全に離れ、鍾馗の伝説をベースに構築されている。世界観を共有しつつ、主人公も舞台も別物なのだ。
2026年2月には中国の春節に合わせた特別トレイラーが公開され、鬼退治の伝承をもとにした世界観のなかで主人公が料理に励む姿という、意表を突く映像が話題になった。戦闘一辺倒ではない生活感のある要素が入る——このあたりが今作の隠し味になりそうだ。
『黒神話:鍾馗』の発売日はいつ?対応機種は?
結論を先に書く。発売日・対応機種ともに2026年8月時点で未発表だ。公式に告知されているのは「コンソールとPC向け」という枠組みだけで、PlayStation 5なのかXbox Series X|Sなのか、あるいはNintendo Switch 2に来るのかは一切明かされていない。
| 項目 | 内容(2026年8月時点) |
|---|---|
| タイトル | 黒神話:鍾馗(BLACK MYTH: ZHONG KUI) |
| 開発 | Game Science(中国) |
| ジャンル | シングルプレイ用アクションRPG |
| 対応機種 | コンソール(機種未定)/PC |
| 発売時期 | 未定 |
| 初出 | gamescom 2025(2025年8月) |
期待している人には残念な話だが、Game Science側は今回公開した映像について「開発初期段階のものであり、製品版とは異なる可能性がある」と明言している。この但し書きが付いている時点で、年内発売は現実的ではないと見るべきだろう。
前作『黒神話:悟空』も、最初のトレイラー公開から発売まで約4年かかっている。同じペースだとすれば、鍾馗の発売は早くても2028年前後——という読みになる。気長に構えておいたほうが精神衛生上いい、というのがこれまで何本もこの手の大作を待ち続けてきたオレの結論だ。
15分のゲームプレイ映像で何がわかった?戦闘システムの中身
今回公開された約15分のゲームプレイトレイラーは、単なる雰囲気映像ではなく戦闘の中身にしっかり踏み込んだ内容だった。判明した要素を整理しよう。
剣・パリィ・回避を軸にした近接戦闘
主人公・鍾馗は剣を主武器とし、パリィと回避を組み合わせて戦う。前作の悟空が如意棒による「棍術」で立ち回っていたのに対し、今作は明確にソウルライク的な間合いの読み合いを重視した設計に見える。
ここは好みが分かれるところだろう。前作の棍術は3つの構えを切り替える独特のシステムで、あれ自体が『悟空』の個性だった。それを捨てて剣とパリィに舵を切ったのは、より万人に伝わりやすい戦闘言語を選んだ結果だと思う。悪くはないが、あの棍の気持ちよさが恋しくなる人もいるはずだ。
青ゲージ=前作の「法力」に相当するスキルリソース
映像では青いゲージを消費して特殊技を発動する場面が確認できる。前作でいう「法力」に相当するリソース管理システムだ。変身系・呪術系の派手な技がここから飛び出す構造は継承されているようだ。
味方の呼び出しと「憑依」——今作最大の新要素
最も注目すべきは「味方を呼び出して共闘する機能」と「呼び出した味方に憑依して操作する技」の存在だ。これは前作にはなかった完全な新機軸である。
鍾馗は伝承において「鬼を従える者」でもある。倒した鬼を配下として使役するという設定を、そのままゲームシステムに落とし込んだ形だろう。つまり召喚したキャラに乗り移って別の性能で戦えるわけで、これが機能すればプレイヤーの引き出しは前作から大幅に増える。
設定とシステムがきれいに接続している。こういう設計を見ると、開発陣が題材を真面目に掘り下げていることが伝わってきて、素直に信用したくなる。
戦闘以外の要素も充実
映像では妖魔との戦闘だけでなく、音楽の演奏や釣りといった場面も確認できた。2026年2月の春節トレイラーでの「料理」描写と合わせて考えると、探索と生活要素にそれなりの尺が割かれる構成になりそうだ。前作がやや一本道気味だったことへの反省とも読める。
「鍾馗」とは何者か?中国の鬼退治伝説を知ると面白さが跳ね上がる
鍾馗(しょうき)とは、中国の民間伝承に登場する道教系の神で、「鬼を退治し、鬼を従える者」として知られる存在だ。日本でも端午の節句の魔除けとして掛け軸や五月人形になっているので、顔だけは見たことがある人も多いはずだ。
伝承では、鍾馗はもともと科挙(官吏登用試験)を受けた人物だった。しかし容貌が醜いという理由で不合格とされ、それを恥じて自ら命を絶つ。その死を悼んだ皇帝が手厚く葬ったことに恩義を感じ、死後に鬼を退治する神となった——という筋書きが一般的だ。
ここが重要なのだが、鍾馗は「排除された者」が「排除する側に回る」という反転の物語を背負っている。しかも彼が狩る鬼は、かつての自分と同じく世界からはじき出された存在だ。この構図、そのままダークファンタジーの主題になる。Game Scienceがこの題材を選んだ理由が、なんとなく見えてくるじゃないか。
前作の孫悟空も「天界に反逆して封じられた者」だった。抑圧と反逆というテーマ性は、シリーズを通じて一貫しているわけだ。ここを知っているかどうかで、プレイ中の解像度はまるで変わる。予習しておいて損はない。
前作『黒神話:悟空』からどう進化した?良い点と気になる点
現時点の情報から見えてくる進化点と、不安要素の両方を書いておく。絶賛だけしても意味がないからだ。
良い点
- 戦闘の選択肢が増える——味方召喚+憑依システムにより、単一キャラでの立ち回りに縛られない
- 題材の新規性——鍾馗伝説は海外ではもちろん、中国国外のゲームでほぼ扱われていない。西遊記より鮮度が高い
- 生活要素の追加——料理・釣り・音楽演奏など、戦闘の合間を埋める要素が用意されている
- 前作の資産——1000万本を売った開発力と潤沢な予算が背景にある
気になる点
- 発売日も対応機種も未定——待ち時間が読めない。前作のペースなら数年単位を覚悟すべきだ
- 棍術の喪失——前作の個性だった3構え棍術がなくなり、剣+パリィという「よくある形」に寄った可能性がある
- 映像は開発初期段階——公式が明言している以上、製品版で仕様が変わるリスクは常にある
- 前作の課題が解消されるかは未知数——後半のマップ密度低下やクエストの分かりにくさは、前作で指摘された部分だ
これまで何本も「開発初期映像で盛り上がって、発売時には別物になっていた」というパターンを見てきた身としては、期待は7割くらいに留めておくのが健全だと思っている。……まあ、発売されたら結局初日に買うんだろうけど。
まとめ|『黒神話:鍾馗』は「悟空の続き」ではなく、まったく新しい鬼狩りの物語だ
もう一度、要点を整理しておく。『黒神話:鍾馗』は2026年8月時点で発売日・対応機種ともに未定。告知されているのは「コンソール(機種未定)とPC向け」という枠だけだ。2025年8月のgamescom 2025で正式発表され、開発はGame Scienceが担当する。
2026年8月に公開された約15分のゲームプレイ映像では、剣によるパリィ・回避主体の近接戦闘、青ゲージを消費するスキルシステム、そして味方を呼び出して共闘し、さらにその味方に憑依して操作するという新機軸が確認できた。音楽演奏や釣りといった生活要素も収録される見込みだ。
題材となる鍾馗は「鬼を退治し、鬼を従える」中国の民間伝承の神。科挙に落ちて自死した者が死後に鬼狩りの神となるという、反転の物語を背負った存在である。前作の孫悟空と同じく「抑圧と反逆」のテーマが貫かれている点は押さえておきたい。
スポットギークス編集部が『黒神話:鍾馗』を注目作と評価する理由は、単に前作が売れたからではない。「鬼を従える神」という伝承の核を、召喚+憑依という戦闘システムに正面から翻訳している点にある。題材とゲームメカニクスが同じ方向を向いている作品は、だいたい強い。一方で、発売日未定・映像は開発初期段階という現実も直視すべきだ。期待は持ちつつ、財布はまだ開かなくていい。
待つ価値はある。ただし、待つ覚悟も要る一本だ。
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スニッカー北村















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